新しい葬儀社アイル社の「変革する社員を育てる」急成長を生み、社会課題を解決する人事制度

2019年2月19日


東京都新宿区で2016年に創業してから、経営方針や人事施策を工夫することで急成長している葬儀社、株式会社アイル(http://airu.jpn.org/)の田中啓一郎社長に、現在の経営や人事方針・葬儀業界の現状などについて様々な観点でお聞きしました。

創業2年で急成長 葬儀を本当の「まごころ」で考え、解決していく

---本日はどうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。まずは、アイル社のことについて教えてください。

田中様(以下、敬称略) 当社は葬儀社で、2年前に創業しました。当初は1人で始めたのですがお陰さまで順調に拡大しています。現在では、当社の正社員のほかアルバイト社員や、常時業務委託で協力頂く準社員の方も入れると12人の業容となっています。最初はシェアオフィスビルの1部屋だったのですが、今では早稲田に移転し、1棟のビルの大部分を弊社で使い、周辺の施設や支社も設けています。地域の方々にも受け入れて頂いて、ありがたい限りです。

 

 

---かなり早い成長ですね。何を大切にされて経営されてきたのでしょうか。

田中 「まごころのこもった葬儀を行う」ということを本当に大切にしてきたために成長できたと考えています。大切なのは「まごころ」ということの意味です。これは、一回一回のご葬儀を丁寧に挙行させて頂くということも勿論含まれますが、それだけではありません。

葬儀というものや、より大きく捉えると「現代における死」というものは、とても大きな問題があると考えています。企業としても、社員一人一人としても、この問題を誠心誠意考え、本質的にお客様の役に立てるよう、改善を徹底し、新しいことも恐れずに行っていくこと。これが当社で考える「まごころ」の意味です。アイルのサービスや経営は、全てこの方針で成り立っています。

業界に先駆けて、社員の事業提案や日々の改善を評価する仕組みを構築

---なるほど、具体的な社員の方への制度や、管理上の工夫などはありますか?

田中 経営において力を入れてきたのは、社員一人一人が、亡くなられる方やそのご家族に本当に役立つサービスを作る・今までのサービスの改善を絶やさず続けていく、ということでした。このために、社員からの事業提案制度や、業務の工夫を行ったら評価する制度を設けています。

弊社はまだ小さな企業ですが、だからこそ、社員一人一人が主体的に考え、日々業務を改善・変革し、さらに事業を作っていくことが本当に重要であると思っています。評価も目標管理制度を取っており、四半期の目標で、お客様対応の品質だけでなく、新しいサービスを作ったり、社内の環境を向上させたりといった項目を設けて評価を行っています。

---葬儀業界で、また御社の規模で、そういった制度を工夫している企業は少ないのではないでしょうか。

田中  はい、葬儀業界では大規模な企業も含め、評価制度自体を設けている企業をあまり聞いたことがないですし、事業提案制度などを設けて運用している企業はそれ以上に少ないと思います。
葬儀自体を丁寧に、決められたとおりに挙行することを社員に教える企業は多いですし重要なことですが、現代の状況の中では、それだけでは不足していると思います。社員一人一人が日々の仕事の中で工夫し、積極的に新しいサービスを生み出していくことで、本当に役に立てる企業になるはずだという信念がありました。

社員の発案で、日々生み出されていく新しいサービス

---具体的な成果などはありますか?

田中 つい先日「生活保護受給者のご葬儀」というサービスを、社員の発案でリリースしました。これは、生活保護受給者の方のための葬儀のパッケージといえるものです。

今の社会において、独居のご高齢の方で生活保護受給をしている方が亡くなった時の対応は、深刻な問題だと思います。
住民票住所や家族の住所と離れた場所で、ご親族とあまり縁がなく独居している高齢者の方が増えています。こうした方がお一人で亡くなった時に、遺体が長期間引き取られなくなってしまう問題が急速に増加しているのです。これは、亡くなられたご本人やご親族の方にとって重大な問題だと思います。このサービスは、ご遺体を広域から即対応でご搬送し、火葬・葬儀、さらに遺骨保管から埋葬やその後の供養までを、一貫したサービスで、行政の扶助の範囲内の一律の額でできるものです。独居のご高齢の方がお亡くなりになった時の問題を、根本的に解決できるものなのです。

 

---それは本当にすごいですね。今までそういったサービスはなかったのでしょうか。なぜそういったサービスができたのでしょうか。

田中 他社でも似たようなサービスはなくはないのですが、遠隔地の運送や永代供養含めて追加料金が発生することが多く地域もかなり限定されていることがほとんどです。完全に一律の額で、広域の即対応や長期間の保管等の対応ができる商品はほとんどないと思います。弊社の社員が、そういった問題に対して様々に考え、現場でも工夫し、社内で提案してくれたことが大きいです。社会的にも大きな課題を解決できる、意味のある成果だと考えています。

社員の自律性と地域への貢献を軸に、故人の死とともに、生きることを大事にする葬儀社を目指す

田中 他にも、核家族化で、葬儀の行い方が分からない家庭が、特に東京では大変多いです。そのため、マニュアルを単に葬儀の内容だけにするのではなく、葬儀の挙行の仕方から、タスクリストまでついた内容にしています。これも社員からの発案によるものです。

 

―――とても分かりやすいですね。

田中 はい、日々の業務の中での工夫から生み出されています。また、この冊子は周辺の郵便局に設置・配布しています。これは広報的な目的もありはしますが、いざという時に備え、地域のために役立ちたいという思いが大きいです。

葬儀の情報はいつ必要になるか分かりませんので、身近な郵便局に冊子が配布があれば、役に立つ方もいらっしゃるだろうということで配布し、郵便局の方からもご評価の言葉を頂きました。いっそう、地域との繋がりも生まれてきています。

―――素晴らしい成果ですね。今後の方向性についてお教えください。

田中 葬儀を「まごころ」をもって行う、そのことの徹底です。経営者としては、社員がより自立でき、日々の仕事を丁寧に、いっそう工夫して積極的に働くことができる環境の整備を必ず行いたいと思っています。また、地域や社会にとって弊社が役に立てるような、一層の工夫をしていきたいと思います。葬儀におけるサービスの徹底はもちろんですが、地域の問題を具体的に解決できればと思います。

葬儀は人の死に関わるものですが、故人を見送るのは、身近な方の死を乗り越えて生きていく方々なのです。現代における死に真摯に向き合うと共に、生きることを大事にし支援できる、まごころある企業でありたいと思います。

 

(東京都社会保険労務士会 HR NEWS TOPICS編集長 松井勇策)