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②リモートワークを当たり前に!労働革命で日本を変える株式会社キャスターの働き方改革

2020年1月27日


社員全員がリモートワークの株式会社キャスター(以下、「キャスター」という。)について、①に続き、企業の組織運営や社員の働き方など、さらにお話をお伺いしました。

 

 

1.キャスターのホラクラシー型の組織運営について

―――キャスターはホラクラシー型の組織とのことですが、どういったものなのでしょうか。

中川社長(以下、敬称略) まず、ホラクラシー型の組織というのは、会社によって定義が異なるものだと考えています。一般にいう、民間企業のヒエラルキー型とは指揮命令系統があり、階層が深く、職務権限が細かく分岐され、上司の命令に従うといったものであると思います。弊社の考えるホラクラシー型とは、これらのヒエラルキー型以外のものであると位置づけています。

一般的にホラクラシー型というのは「階層が浅い」といったことがよく取り上げられますが、それは部分的なものでしかないと考えています。設立から5年を経過し、こういった組織運営について感じているのは、ヒエラルキー型は1人に対して3人程コントロールするため、階層が深くなり、情報を分断することでコントロールしています。一方、ホラクラシー型は1人が10人から50人程をコントロールする代わりに、上層部のポジションが少なく階層が比較的浅いものです。結果として、ホラクラシー型は一般社員と上層部との情報量に乖離がなく、社員も色々な情報に触れることができますが、階層が浅いことで社員自身も自発的に考えることが求められ、会社側からみるとコントロールを放棄しているともいえるのではないでしょうか。

 

―――ヒエラルキー型を取らなかった理由は何かあるのでしょうか。

中川 当初、ホラクラシー型の組織ということにそこまで強い意識をもっていませんでした。しかし、思ったように動かない人を、思ったように動かそうとして問題が起きることの方が多く、それに気が付くまでは大変だったと感じています。今はそれが分かったのでホラクラシー型と言っています。

この5年間、弊社は成長途中ということもありましたので、学校のように社会人としてこうするべき、人間としてこうするべき、ということを教える時間がなかったというのも大きな理由です。そのため、やらない人にやってもらうことを考えるのではなく、弊社が持っている情報はほぼすべて共有し、それぞれが与えられたタスクに向かって考えて取り組むことを自然と求めるようになりました。

(中川社長。社長自身も普段は東京オフィスには常駐していない。)

 

2.社内の組織体制・人事評価制度について

―――役職者の人数など、組織体制について教えていただけますでしょうか。

中川 上から役員、マネージャー、メンバーの3階層です。割合としては役員・マネージャー(サブ含む)で30人程度(サブマネージャーを除くと20人程度)であり、残りはメンバーとなります。

 

―――役職者のポジションがかなり少ないですが、メンバーからマネージャーになるための評価基準等はあるのでしょうか。

中川 現状、評価のための人事制度はありますが、役職をあげるための人事制度や評価基準というのは特になく、役員やマネージャーが個別に判断してます。ただ、マネージャーになったメンバーを見ていると周辺からの信頼感を得られているかどうかが重要であると感じています。

 

―――部下や周りからの信頼感が重要ということですが、360度評価などを取り入れることは検討されていますか。

中川 今のところ必要性を感じていません。各人の知識量が違ったり、持っている情報量が違ったりすると、正しく360度で評価できないのではないでしょうか。能力だけを重視し採用したメンバーはそういった評価が必要になるかもしれませんが、長く弊社で働いている人は、そういった評価制度を導入せずとも、魅力のある人には自然とついてくるものだと考えています。

 

 

3.社員の就業形態について

―――キャスターではどういった働き方をされている人が多いのでしょうか。

中川 全体の4割が弊社に雇用されている社員であり、残りの6割が業務委託です。社員で働いている人は基本的にはフルタイムで働いています。勤務時間については、業務によって違いますが、出退勤時間が自由なフルフレックスとコアタイムのあるフレックスで働いている人、定時で働いている人がいます。業務委託については、フルタイムで働くことは難しいが弊社の仕事を継続して希望する場合には、業務委託での形式をとっています。

 

 

―――育児休業をされた社員の方への対応はいかがでしょうか。

中川 弊社は一般的な会社と違いリモートワークでの就業を行い、勤務時間についてもフレックス制度を導入しています。それもあってか、一般の会社のように朝9時までに通勤といった制限もないため、あまり時短で働きたいといった要望がないように思います。広報の勝見マネージャーも現在、フレックス制度を活用していまして、夕方で一旦中抜けし、夜にまた業務をするといった形でフルタイムで働いています。

(中川社長(右)と広報担当の勝見マネージャー(左)。勝見マネージャーはフルフレックスでの勤務で本日は取材のためお越しいただいた。)

 

―――柔軟な働き方ができて社員の方にとって働きやすい環境に思えますが、退職者などはいらっしゃるのでしょうか。

中川 弊社を退職するきっかけは大きく分けて二つあります。一つは地方にいる方が東京に転居した際などです。東京に住めばこれまでのようにリモートワークをしなくとも職業選択の幅が格段に広がるため、退職されることもあります。もう一つは、先にお話ししたように、弊社はエリア関係なく採用をしていますので、応募も多く、自然と能力が高い方・実力のある方が常時供給される状態となっています。そのため、社内のルールにも慣れ、かつ、外部からみてもレベルが高い状態でいることは本人にとっても厳しいと感じてしまうこともあると思います。

 

 

4.現在の労働市場と今後について

―――キャスターはリモートワークを当たり前にといった理念をお持ちですが、現在の労働市場をどのようにお考えでしょうか。

中川 現在はまだ人が足りないといった状況が顕在化していません。大企業にはたくさんの応募がある状況で、国としても本腰を入れて対応をしていないように思われます。一方で、中小企業では徐々に必要性を感じてきています。ある企業でも、人事部長などが、上からの命令で人手不足を阻止しようとモチベーションを高める取り組みなどをしていますが、効果がでず、リモートワークに活路を求め、弊社に意見を聞きにくることもあります。

 

 

(導入率が伸びているとは言え、まだ発展途上の段階である。(出典:総務省HP))

 

 

―――それでは今後、日本の労働市場全体に対してどのようにお考えでしょうか。

中川 現状ではまだまだリモートワークは一般的な働き方として考えられていないように思います。
弊社はリモートワークを当たり前にするというミッションを持った組織です。今できることとしては、シンプルですがリモートワークを当たり前にするために、最も高効率であり、最も魅力的なものであるものにし、他の人から憧れられる働き方にしていきたいと考えています。

(今後について熱く語っていただいた。)

5.取材した社労士からの一言

リモートワークという働き方は、今後普及していくと思われるが,現時点では時間管理の方法や、評価の方法、業務の切り分け等、新たに検討すべき事項がまだまだ多く、二の足を踏む企業も多いだろう。
しかし,採用活動に苦戦している中小企業などは、発展途上の今だからこそ,積極的にリモートワークを活用していくことが重要であるように思える。大企業もそれほど多く参入していない今であれば、採用時にスキルの高い人材を集めることができる可能性も高く、結果として事業の成長に寄与するだろう。
今回の取材を通して、社員の働き方に色々な選択肢を持たせることが魅力ある企業や社員を作る重要な要素の一つだと改めて認識でき、取材をさせていただいたキャスター様には改めて感謝申しあげたい。

 

(執筆 東京都社会保険労務士会 HR NEWS TOPICS編集部 峠秀二)