人の価値を通じて社会を変える!感染症対応は経営改革と拡大に繋がった ナンバーズ株式会社

2020年9月17日


今回は、東京都で人材や人事に関する総合サービスを行っている ナンバーズ株式会社 の代表取締役、千葉浩一社長にお話をお伺いしました。創業3年で急成長しており、コロナウィルス感染症の流行下で停滞していると思われる人材市場で、拡大を続けている企業です。

 

―――まず、現在の事業についてお伺いします。どのような事業を行っており、強みは何なのでしょうか?

 

千葉社長(以下、敬称略) 弊社は人事・人材の事業領域で、特に採用関連の事業を行っています。創業から3年ほどが経っており、業容はアルバイト社員も入れると30名程です。

新卒採用や中途採用に関する運用とコンサルティングに一番注力しており、書類選考の代行・面接・採用要件の設定・採用広報についての制作やコンサルティング・ほか人材紹介などまで、人材や組織人事全般に関わるサービスを行っています。IT系の新技術や新しいHRの考え方を導入することも大事にしています。

 

強みとしては、運用にもコンサルティングにも偏らず、お客様のご要望に応じた柔軟な対応を行っており、それゆえにカバーできる範囲が広いことだと思います。

「顧客の困っていることに応える・その数と可能な領域をひとつひとつ増やしていく」これを全員で大事にした経営を行っています。

コロナウィルス感染症は、事業的にも社内的にも大きな機会だった

―――ありがとうございます。早速ですが、コロナ感染症により社会的に人材採用が少なくなりましたが、貴社の業績にはあまり影響がなかったとお聞きしました。現状と理由を教えてください。

 

千葉 もちろん新規の営業がしにくくなるなどの影響はあるのですが、売上は減っていません。取引が伸びた顧客も複数あります。今までと別の成長が感じられる時期になったと思います。感染症への対応を通じて顧客へのサービスの幅を広げられたり、信頼値を増やしたりできたと思っています。

顧客の課題というのはコロナウィルスの対応でさらに種類が増え、拡大しているのです。そういう顧客課題を解決する対応を迅速にフットワーク軽くできたことは、当社の社員の大きな実績だと思います。日々とにかく顧客ニーズを個別に聞き、対応することを愚直に行ってきたことの成果だと思います。

 

―――それは凄いですね。どうなるか分からない状況の中で成果を出せたのはなぜなのでしょうか。

 

千葉 根本においては「顧客の困っていることに応える・その数と可能な領域をひとつひとつ増やしていく」という弊社の根本と強みがまさに生きる機会になったということだと思います。今回の感染症の対応で人材業界の事業者の対応を見ていると、大きく対応が2つにわかれました。

・状況の予測ができないため、とりあえず今のサービスを続けるかやめるかを顧客に相談し静観する対応

・新しい事業機会だと見て、感染症対応用のサービスやコンサルティングを提案・販売しようとする対応

弊社はどちらでもありませんし、どちらの対応にも問題があると思います。こうした変化の時にはお客様も大変不安な中で様々な問題に直面します。そこに並走してご一緒に考えていくことが大切なのです。

 

採用予定の方への連絡の仕方から採用活動自体の時期の見極め、面接の場設定などまで、お客様はあらゆることで困られていました。むろん弊社にも答えはありませんが、こういう時こそ我々がいる理由があると社員皆が思ってくれたのは本当に心強い限りでした。顧客に並走する姿勢が確立していれば、どんな変化でもチャンスでしかないと思っています。

弊社内でもテレワークを行ったりマネジメントの仕方が変わったりといった困難な局面がありましたが、社員一人一人が状況への対応を考えさらに進化するための糸口になったと思います。こうした変化は今後も必ず起きてきます。日本の人口減少は大きな変化ですし、社会の変動に応じた今までにないサービスも求められるでしょう。そういう中で大切にしたい姿勢だと考えています。

 

人に関わる事業の変革は、今後の日本と世界の鍵となるものである

 

―――大変よく分かりました。ありがとうございます。社会的な意義のお話が出ましたが、貴社での人材事業の事業目的や展望においても、社会への影響力は大切なことなのでしょうか。

 

千葉 弊社で人事・人材事業を行っている理由は、大きくは3つです。それは、

・人に関する課題が社会的な課題と直結しており、業界のあり方にも問題があること

・顧客の課題がそれぞれで付加価値が高めやすいこと

・個別のノウハウが深く必要で参入障壁が高いこと

の3点です。後半の2つは事業的な視野であってもちろん大切なものですが、特に最初の社会課題や業界課題は、根本的に大切だと感じていることです。
もともと私は大手の人材系企業に勤務していたのですが、人に関わる社会的な課題を強く感じてきました。

 

今の日本の就職観や就業観は明らかに変化しないといけないと思っています。まず働くということに対してマイナスな意見が多すぎます。また「組織の言うことに従う」ということがすなわち仕事である、という組織主義の考え方も強すぎます。仕事とは本来、自分で考えて社会に価値を発揮する楽しいものであるはずです。自分の価値を発揮でき、自立的なキャリアを積極的に歩める社会になっていって欲しいと思います。これは社会全体の幸福度にも影響してくると思います。

 

そして世界全体を見るとアメリカや中国に世界の優秀な人材が集まる構造になっていますが、そのまま競争力にも影響する構造になっている。こうした社会的な話は事業と直結した話なのであって、特に大企業のお客様の悩んでいる点も社内の風土の改革や国際競争力の向上など、まさに今申し上げたことなのです。

こうした課題を解決することこそがナンバーズ社の存在意義だと思っています。

「顧客の困っていることに応える・その数と可能な領域をひとつひとつ増やしていく」ことで社会を必ず変える!

―――なるほど、素晴らしいことですね。いま前職のお話が出ましたが、創業の経緯や今後目指していくことを教えてください。

 

千葉 人材系の大企業には新卒入社して15年ほどお世話になりました。後半は管理職で自分の部門の売上規模も大きかったですし、一定の範囲での社会的な影響力はあり、そこにやりがいを感じていた時期もありました。しかし、既に述べたような大局的な社会課題に向き合うことや本当に顧客志向で並走することが行えていない感覚が強くなり、自分でやるべきだと思ったのです。

 

前職を辞めた後は多少の紆余曲折があり、しばらくは個人のコンサルタントとしてあまり事業領域を絞らずに仕事をしていました。しかし、改めて企業が人の採用や活用で非常に困っていることが見えてきました。難しく考えることはなく、会社員の時から私が大切にしていた「顧客の困っていることに応える・その数と可能な領域をひとつひとつ増やしていく」ということで十分に事業にできることが見えてきたのです。

 

幸い、個人事業主としてその時点で数千万の売上を上げることはできており、事業のやり方は分かってきていました。組織の力でサービスを開発し、それを展開することでさらに大きな変化を生み出していく「顧客の困っていることに応える・その数と可能な領域をひとつひとつ増やしていく」ということを意識して、ナンバーズという社名で創業しました。

千葉 それから3年が過ぎましたが基本的なスタンスは変わりません。幸い社員も増えお客様も増えましたが、まだできていないことはあまりにも多くあります。一日一日、ひとつひとつできることを増やす日々です。

こうした変化の時代では、そういう経営姿勢が重要だと思っています。あまりに強く大きな単一のサービスを作るのではなく常に変化しつつ、人の力を信頼して、扱える領域を拡大していくことが前職の経験からも非常に重要だと思っています。

 

今後はサービスの多様さと対応力を進化させ、自社の組織の構築にも注力することが重要だと考えています。そして、国際的なサービスを創り出したいとも思っています。

海外への足掛かりを作り、国内では就業意識や構造を変革していく、そして本当に役立つサービスを豊富に生み出し、人の力を発揮できる社会や組織を内にも外にも必ず実現するのだと決めています。それが私の理想であり、仲間と共に今後必ず実現していくことなのです。

取材をした社労士より

非常に力強いメッセージを頂きました。ナンバーズ社は創業から3年にも関わらず急成長を続けています。そして、コロナウィルス感染症対応下で事業ドメインの採用事業が社会的には縮小する中でも、事業領域を拡大させてきた企業です。

その力の原動力の一端が社長のお話から理解できたように思います。

「変化の時期だからこそ、顧客に寄り添う機会が生まれる」ということは、あらゆる事業で参考になる知恵だと思います。

こうした姿勢を一人一人が持って仕事や日常に取り組むことが今後必要な姿勢であり、企業が持つべき事業戦略や人事施策の考え方でもあるのだろうと思いました。

 

(東京都社会保険労務士会 HR NEWS TOPICS編集部 松井勇策)