コロナ禍を生き抜くソリューションを提供する経営者相談窓口 東京都よろず支援拠点

2020年12月1日


中小企業の経営課題は、資金調達だけではなく、商品開発や販路開拓・拡大、生産力の強化など多岐にわたります。こういった経営相談ができる行政の窓口のひとつとして、よろず支援拠点があげられます。

よろず支援拠点とは、平成26年に内閣法として施行された「小規模事業者振興基本法」に基づき、国(中小企業庁)が47都道府県に1カ所づつ設置した経営相談機関です。全国各地の事業所(支店、工場含む)の経営者(中小企業、小規模事業者、創業予定者等)のため、無料で何度でも利用できるワンストップの経営相談窓口です。コロナ禍の中では、社会保険労務士と連携しながら雇用調整助成金の申請の対応もしたそうです。

今回は、東京都よろず支援拠点のチーフコーディネーターの金綱潤様にお話を伺いました。

 

専門分野に限定せず包括的なアドバイスが可能なコーディネーター

―――本日はどうもありがとうございます。まずは、よろず支援拠点についてお伺いします。行政の相談窓口は国内に多数ありますが、東京都よろず支援拠点の特徴を教えて頂けますでしょうか。

 

金綱様(以下、敬称略) よろず支援拠点の最大の特徴のひとつは、経営者に対して実践的なアドバイスができるように、経験豊富なコーディネーターを揃えていることです。そのためメンバーの採用の際には実績を重視していますし、継続的にご利用いただく企業様も多いことから、できるだけ単年度だけではなく複数年度対応して頂ける方を採用しています。

 

―――コーディネーターの方々は、中小企業診断士、弁護士、税理士など士業の先生方も多いですね。それぞれの分野のエキスパートの方々なのですね。

 

金綱 はい。ただし、経営者が抱える課題はひとつだけではないことも多いですから、各コーディネーターは自分の専門分野にだけ対応するのではなく、幅広い知識を持ち、総合的な視点での対応やアドバイスをするように心がけています。

 

―――縦割りの相談窓口ではなく、各コーディネーターが専門分野の垣根を設けずに幅広い対応をすることで、経営者が利用しやすいワンストップのサービスが実現できるのですね。

 

金綱 はい、そのためにはコーディネーターの人間力も重要です。よろず支援拠点では、コーディネーターが経営者の気持ちに寄り添ったアドバイスをするため、経営者からの信頼を得られるのです。こういった積み重ねから、何度もよろず支援拠点を利用してくださる経営者も大勢います。

 

―――本気で事業を支援する専門家が対応するから、ソリューションへと導くことができるのですね。

 

相談窓口では、早期にサーモグラフィー、消毒液、アクリル板の設置等に取り組み、感染症対策にも配慮していました。

ビジネスの成功を見据えた課題解決

―――よろず支援拠点での相談対応では何を一番重要視していますか。

 

金綱 やはり、成果につなげるためのアドバイスが重要だと考えています。ですから、経営者からの質問に対しそのまま答えるだけの対応はせず、実現したいことをひとつずつ掘り下げて確認するよう心がけています。

 

―――具体的に教えて頂けますでしょうか。

 

例えば、経営者からの質問が「海外進出するための段取り、必要な手続」であった場合、よくよくお話を聞いてみると、海外進出よりも先に取り組むべき経営課題が見つかることがあります。そういった場合は、まずはその課題を洗い出し解決法について一緒に考えるようにしています。

 

―――質問されたことに対する回答でない場合、「聞いたことに答えてください」という反応をされることはないでしょうか。

 

金綱 先程お伝えしたように、コーディネーター達は企業のことを本気で考えてアドバイス致しますし、課題に対して一緒に考えていくスタンスで接するため、経営者の方々も真摯に話を聞いてくださいます。

 

―――熱い思いが経営者にしっかり伝わっているのですね。

 

金綱 はい。なお、企業の成長という結果を出すためには、複数の課題解決が必要なこともあるため、経営者の方に何度もお越し頂くこともあります。よろず支援拠点は、無料で何回でも相談ができますから、中長期的な支援も実現できます。

 

―――何度でも相談できるのは、経営者にとって本当に心強いですね。

 

金綱 経営者のご相談を丁寧にお聞きし、コーディネーターが内容をまとめていく中で、経営者自身が気付いていない自社や製品、サービスの魅力が見つかることもあります。このような発見を結果につなげるため、製品のターゲットや付加価値、販路開拓や製品の提供方法などを経営者と一緒に考え、販売促進のアドバイスをすることもあります。

このように、経営計画や販売促進計画を練ったうえで、活用が必要な補助金があればご案内をすることもあります。単に補助金の説明をするだけのアドバイスではないのが、よろず支援拠点の強みです。

 

―――質問相談の枠を超えた、コンサルティングサービスも行っているのですね。ここまで親身になってもらえるとは素晴らしいですね。

 

金綱 はい。ですから、質問できる内容かわからない場合や課題自体がわからない場合も、まずはご相談いただければと考えています。

 

―――企業の成長を本気で支援している素晴らしい経営相談窓口ですね。

コロナ禍で企業が生き抜いていくには

―――2020年は、コロナ禍ならではの相談を経営者から受けることも多かったと思います。

 

金綱 そうですね、新型コロナウィルスによる影響で今後の戦略が描けない状況に陥っている企業も多く見られました。中には自分の企業のキャッシュフローを把握していない経営者もいらっしゃいましたので、お金の動きを視覚化し、経営状態を把握していただくところから説明することもありました。

 

―――まずは現状を把握して頂くことが大切なのですね。

 

金綱 はい、経営課題の解決には現状把握は必須です。

 

―――その後では、どのようなアドバイスをされるのでしょうか。

 

金綱 まずは、企業の体力があるうちに着実に手を打つことが大切です。そして、時代に合わせたアクションも大切です。例えば今の時代では、インターネットを使ったPRや販売は一般化しています。ITに苦手意識を持っている経営者も多いですが、その中でも効果を上げられる具体的な方法をアドバイスをすることもあります。

 

―――さすが、よろず支援拠点ならではのアドバイスですね。

 

金綱 コロナ禍の中では会社をたたむことを考えていて、その手続について相談してくる経営者の方もいらっしゃいました。しかしながら、お話を伺っていると必ずしもたたむ必要はなく、新たな展開が望めそうな企業もあります。そういった場合には、経営回復について一緒に考えましょうとアドバイスしています。

 

―――聞かれたことに答えるだけではないスタンスがここにも表れていますね。

 

金綱 新型コロナウィルスの影響もあり、経済や経営のあり方は激変しています。コロナ禍で売り上げを伸ばしている企業もありますから、これが千載一遇のチャンスとなることもあり得ます。そのためには常に情報収集をすること、人と人とのネットワークを大切にしておくことです。よろず支援拠点では頑張る経営者を心から支援致しますし、一緒に課題解決について考えていきますので、経営者の皆様には、前向きな気持ちを持って、健康的な生活を送っていただけたらと思います。

 

―――企業の成長や回復を心から願っている、よろず支援拠点だからこその心に響くアドバイスですね。

 

取材した社労士より

今回の取材では、行政の相談窓口に対する印象や価値観が覆るような衝撃を受けました。企業の本業支援に本気で取り組み一緒になって経営課題を乗り越えていく姿勢は、社会保険労務士としても学ぶところが多いと思います。こういった機関を是非多くの企業の方にご利用いただき、課題解決につなげていただければと思います。

(東京都社会保険労務士会 HR NEWS TOPICS編集部 永井知子 勝田由紀子)