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アジアの開発と人材活用における民間交流の大切さ、今後の日本の発展に向けて

2020年4月10日


日本企業のうち約6割の企業が海外進出の拡大意欲を持っていることがジェトロの調査(※)で明らかとなっています。海外進出の際に成功するコツには、どんなことがあるのでしょうか。今回は日本貿易振興機構(ジェトロ)理事の北川浩伸様に話を伺いました。

「2019年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査(ジェトロ海外ビジネス調査)」

ジェトロについて https://www.jetro.go.jp/
日本貿易振興機構法に基づき、前身の日本貿易振興会を引き継いで2003年10月に設立。
対日直接投資やスタートアップの海外展開支援等を通じたイノベーションの創出の支援や、日本の中堅・中小企業などの海外展開の支援をしている。

その国を理解することの大切さ

―今日はありがとうございます。今回は北川様のベトナム滞在時のご経験からのお話を中心に、企業が海外進出するための重要な視点について伺えればと思います。

 

北川(以下、敬称略) はい。何よりもその国の理解をするということだと思います。それも、文化的背景や、深いところの考え方です。私はジェトロのハノイ事務所での2年半の勤務を終えて昨年9月に帰国しました。その滞在の中で、活躍している日本企業に共通の特質やベトナムの方々の心情に触れ、実感したことが多くあります。

 

―文化的背景や深い考え方というのはどういう意味でしょうか?日本からの進出企業での具体例や、それを可能にする方法などはありますか?

 

北川 はい、効果的な活動をしている企業や団体は、市場調査を綿密に行い、常に最新の情報を得るようにしていますし、国単位だけではなく地域別の情報もよく知っています。例えば、この地域ならこのくらいの給与水準といったミクロの単位での情報もしっかり握っています。しかしそういった情報だけでなく、ベトナムという国の文化や背景を把握しています。こうしたことを可能にする理解を行ったり、そういうことが可能な企業や団体と連携すること、学ぶことが重要だと思います。

 

―その国の確実な理解が、海外進出の成功につながるのですね。

 

北川 ベトナムの経済は毎年6~7%の成長率がここ20年ほど続いていますから、一昔前の発展途上国ではありません。しかし、そういった外形の変化に注目しすぎると、最も重要なことを見逃してしまう恐れがあります。確かに、空港の建物は立派ですし、巨大な橋もあります。衣食住は豊かですし、街には西洋料理のお店も多くあります。
しかしながら、ものの考え方や気持ちの部分が日本と通じるところがあります。人々は義理を返す部分があるため、家族のように接すれば返してくれます。そういう根本の心情の理解が大事です。そして、そういった考え方に立って雇用の仕組みが出来上がっています。
もちろん、労働市場の仕組み自体は日本のような内部が完成されておらず、流動的なところはあります。そういった文化、社会の仕組みまで含んだ理解の上に人のつながりが成り立ち、ビジネスが成り立っていくのです。
海外進出を成功させるためにはその国のことを、確実に理解する必要があります。

ベトナムの心や義理を大事にする思想

―海外進出を成功させるために、企業は海外の人材とどのように向き合えばよいのでしょうか。

 

北川 やはりその国のことを理解することです。ベトナム人についていうと、意外に知られていないことですが、日本語を話せる人は実はたくさんいます。現在、ベトナムからの留学生は2018年5月時点で日本に7万人以上います(出所:(独)日本学生支援機構)し、ベトナムには日本語教育に力を入れている大学も多くあります。つまり、かなり流ちょうに日本語を話せるベトナム人はたくさんいるのです。こういった情報を得ている企業は、ポテンシャルのある人材を見つけられるため、海外で成功できる可能性が高いです。

 

―人材についても、その国の状況を確実に理解することが、海外進出の成功につながるのですね。

 

北川 はい。それには語学力だけでなく、その国の文化的背景も含めた確実な理解が必要です。ベトナムは仏教徒の人が多いため、ものの考え方や気持ちの部分が日本と通じるところがあります。そういった心の部分も重視して接していく必要があります。

 

―お話を伺っていると、ベトナムの人材は日本企業と相性がよいということですね。こういった素晴らしい人材を活用できると、企業の業績も上がるということですね。

 

北川 しかしながら、ベトナムに進出している日系企業は現在1,800以上ありますが、ベトナムのこういった人材を活かしきれている企業は多くはありません。そのためには、やはり現地の情報をしっかり取ること、その仕組みを作ることが大切だと言えます。

後発国の重要性とアプローチ

―海外進出するには、文化的背景も含めてその国を確実に理解することが大切という話をしましたが、これはアジアの他の国へ進出する際も同様でしょうか。

 

北川 はい。例えば、ラオス・ミャンマー・マレーシアなどは、アジア進出を計画している企業から注目されている地域です。これらの国々に進出する際も、その国の文化的な背景を含めた理解は必須です。

 

―既にほかの国の影響を受けている国もありますが、そんな中で日本企業が海外に進出することに対しての優位性はあるでしょうか。

 

北川 はい。アジア各国の日本企業への関心の高さは日本のプレゼンスになります。単に投資規模などだけで強みを判断するものでなく、日本という国を理解してもらうことも重要です。
その国の歴史や文化、国と国とのかかわりのあり方、人に対する考え方などを重視していく企業は業績を伸ばすことができると思います。そういう企業や団体であれば、今後のアジアや世界のあらゆる地域で成功できると思います。

海外での人材活用

―海外進出先に、日本で成功している人材サービスのビジネスモデルを海外に持ち込んで展開することは効果があるでしょうか。

 

北川 日本の雇用システムは世界から見ると特殊な面もあるので、そのまま持ち込んで受容してもらうことは難しいでしょう。例えば日本の雇用システムの特徴である長期的な雇用をまず考えるという点は、外国人にはイメージがつきにくく、その良い面が伝わっていない傾向がありますから、その企業で働くうえでの具体的なキャリアプランなどを提示するなどの方法で、まずは相手に仕組み自体をよく理解してもらうことが必要です。

 

そのうえでやはり、日本企業側が、その国の特性を大事にしていく必要があります。その国ごとに労働市場が違いますから、その国の人々の働く人の姿を考えたうえで、どのような仕事をお願いするかを考える必要があります。例えばマレーシアの人々は英語力が高いです。そういった人材をどうやって生かしていくか、そして、相手の国の歴史、カルチャーや宗教からくるバックグラウンドなどもかなり深く見ていかないといけません。

 

―文化的背景を含めて、やはり、その国のことやその国の人々のことを理解する必要があるのですね。

 

北川 はい、繰り返しになりますが、その辺りをよく勉強している、理解している企業や団体は、人材を効果的に活用できるため発展していく可能性が高いと言えるでしょう。

 

―海外進出を成功させるためには、まず、その国や地域の情報を細かく確実に取ること、その次に相手の国の文化などの背景を理解し、人との関わり方を大切にすることですね。この2点が重要ということが良くわかりました。今日はどうもありがとうございました。

(執筆 東京都社会保険労務士会 HR NEWS TOPICS編集部 永井知子)