日本初のピアボーナスシステムを開発したフラットな組織 Unipos株式会社(2)
2019年3月1日
<![CDATA[徹底して壁を取り払ったフラットな組織「Unipos株式会社」様が、日本初のピアボーナスシステム開発に至った経緯を(1)に続き、お伺いしました。
――― 良かった出来事をその日の終わりに思い出せれば、幸せな気分で一日を終えることができますね。ポイントと同時にコメントも頂けるので、相手の言葉が記録に残って見返すこともでき、勇気づけられます。
朝妻様 当社では給与明細をあえて紙で手渡しにしていますが、これは給与明細の中に同僚から受け取ったメッセージを入れるためです。給与明細の手当の欄に「ピアボーナス」と記載があるだけでなく、同僚からのメッセージが別紙で入っているのです。
同僚からの感謝のメッセージの一例
――― わざわざ別紙にしてまで感謝の気持ちを伝えるとは、本当に手間をかけていらっしゃいますね。給与明細は電子メールで送られてきて見ずに終わる、封筒を開けて紙をさっと見たら捨ててしまう、という人が多そうですが、そこまで気配りしていらっしゃるとは正直意外でした。
――― 従業員がとても大切にされているようですが、どの会社でも頭を悩ませている離職の問題について、離職率が下がったなどの実績が出ていたりするのでしょうか。
斉藤様 システムをリリースしてまだ1年ちょっとなので、定量的に測定はしていませんが、システム単体ではなく、これを使って信頼関係を築いていった結果、離職が減少するということはあると思います。当社でもエンジニアが30~40人いる状態で1人もやめていない時期が4~5年続いていました。
自分の貢献が正しく認められていて事業側との信頼関係が気づけていれば辞めにくくなるのだと思います。
――― 同僚からの感謝のメッセージは、上司から評価面談で評価をされるのとはまた違った嬉しさがあります。人事評価制度とピアボーナスの関係性はどのように考えていらっしゃいますか。
斉藤様 ピアボーナスを人事評価制度にしてしまうと褒め上手な人が近くにいる人がポイントを多くもらえてしまい、不平等感が出てしまいます。「楽しく使える」のがピアボーナスの良いところなので、人事評価制度とは別物として見ています。
もし人事評価制度に活用するのであれば、上司が部下と面談をする前に、「この人は今週何をしていたかな?」という仕事の中身や実績の確認のため、上司が知らなかったことをシステムで確認してから面談に臨むというのが一番良い活用方法ではないかと思います。
特に管理部門など定量成果が出にくい人に対して、貢献してもなかなか認めてくれないというところにスポットライトを当てることができているので、陰の貢献を上司が確認するときに役立ちます。
――― ポイントを送る機能に加えて、メッセージにハッシュタグを付けられるとのことですが、これは何の役立っていますか。
斉藤様 企業が行動指針を変えたときは、ステッカーや動画を制作するなど様々な方法を使って従業員に周知・浸透させようとしますが、どの会社も苦戦しているのが現状です。
そこで、企業の行動指針をハッシュタグとして入れることで、企業文化に合ったハッシュタグを日常的に使ってもらい、行動指針を素早く簡単に従業員へ浸透させることができます。当社も3か月前に行動指針を変えましたが、ハッシュタグにより既に従業員へ浸透しており、当社の行動指針を知らない人は一人もいません。
また、個人が自由にハッシュタグを決めることができるので、P.S.(追伸)のように使えて、ユーモアを盛り込んだりすることもできます。
――― ピアボーナスが企業文化の共有と浸透に一役買っているのですね。他の活用事例はありますか。
斉藤様 当社のシステムは、各社でシステム名を変えられるようになっています。例えばメルカリ様は「メルチップ」、ドリコム様は「みかん箱」という名前になっていますが、中身は当社のシステムです。
――― 通常は自社のシステム名を前面に出したがると思うのですが、それを出さないことで導入企業様が大変使いやすいものになったのですね。
斉藤様 当社のシステムは、Slackなどの他のコミュニケーションツールとの連携がしやすいので早くからIT企業に導入されてきましたが、それだけではないのです。
朝妻様 創業133年の企業様(平均年齢44歳)や、日本各地に拠点がある企業様でも多く利用されており、システム名の変更だけでなく、場所や世代を感じさせない仕組みになっています。
例えば、20年以上デザインの仕事をしてきた仙台勤務の従業員が東京勤務の従業員から感謝され、「はじめて『ありがとう』と言われました!涙が出るほどうれしかったです!」という感想をいただいたり、あるウェディング企業様ではウェディングプランナー以外に当日の受付表を作る係など、光が当たりにくい人の良い働きが可視化され、全ての働く人に光が当たってきています。
また、求人募集を出す際にも、福利厚生として「ピアボーナス制度があります」と伝えることで、企業が従業員に対してどのようなスタンスかを伝えることもできるのです。
――― 平均年齢44歳の企業様でも抵抗なく使われているとは意外です。組織の中では同僚と熾烈な争いを繰り広げたり、足の引っ張り合いが行われることもありますが、そのような状況からはかけ離れた仕組みで驚きました。
――― 最後になりますが、御社は働き方改革にどのように貢献できると考えていますか。今後の展望も含めて教えてください。
斉藤様 当社のピアボーナスシステムにより従業員同士が相互互助的な協力体制を築き、1人当たりの生産性を上げることで《働き方改革》を加速させることができると考えています。
従業員の隠れた貢献に報いる土台ができる。頑張りが報われる。もっともっと個人が頑張ろう!と思える環境を作る。自分たちも従業員の一人だから、そのミッションに立ち返りやすいのです。
当社は「すべての働く人にスポットライトを」がミッションですので、広告事業のみに固執するつもりはありません。様々なジャンルでコラボレーションすると新しい事業が生まれてきますし、そういう雰囲気を日本や海外で作っていきたいです。ピアボーナスシステムはその1形態なだけです。
――― 同じ志を感じました。私たち社会保険労務士もすべての働く人にかかわるお仕事をしていますので、働く人が生き生きと働ける環境作りにもっと貢献していきたいです。本日は貴重なお時間をいただきまして、誠にありがとうございました。
(執筆 東京都社会保険労務士会 HR NEWS TOPICS編集部 亀田 裕香)]]>