日本語学校の現状と運営方針 カイ日本語スクール

2019年7月14日


日本語学校協同組合 カイ日本語スクール 新宿日本語学校

適正な労務運用とコンプライアンスについて

  ―――社会保険労務士会からの取材をご快諾頂き、本当にありがとうございます。   カイ日本語スクール代表 山本様(以下敬称略) こちらこそありがとうございます。社労士会さんから取材頂いて大変幸いです。日本語教育には今まで社会保険労務士はあまり関与していなかったのですがが、私どもの学校でも適正な労務管理を目指しており、今後は社会保険労務士と協力していく必要が強いと考えています。   ―――どうもありがとうございます。世の中的には、留学生受け入れ大学や日本語学校の不祥事の報道もありますが、貴校はそういったご方針なのですね。   山本 はい、カイ日本語学校では、日本語教育推進基本法などの日本語教育関連の法改正・制度改正、直近の法律の制定・施行などを常に意識しており、日本語教育の機関として最前線の対応をしています。 日本語学校で現状問題となっている点は、留学生の不法就労や不法滞在などと思いますが、本来あるべき日本語学校の姿は適正な環境で留学生に勉強してもらうことだと考えております。 問題意識を持っているのは日本語教育の範囲だけではなく、留学生の年金制度の加入について等にもいえます。教育以外の部分、法令全般に対してのコンプライアンス意識も高く持つことが求められていると考えています。   ―――ありがとうございます。非常にコンプライアンスを重視されていて驚きました。貴校においては、もともとそういった意識で経営をされていたのですか?   山本 カイ日本語スクールの経営方針はコンプライアンスを十分に意識しています。 弊校は、1987年設立され30年以上の歴史があり、長い間日本語教育に対して向き合ってきた歴史があるのです。 日本語学校や外国人の在留資格に関する法制度の変遷は非常に多く、情勢に合わせた臨機応変な受け入れ態勢の整備を常に考えてきました。倫理観についても非常に高くもたないとやってこれなかったと言えます。   ―――どうもありがとうございます。私自身もメディアで報道されている日本語学校のイメージが強かったので、コンプライアンス意識の高い日本語学校のお話を聞けて大変参考になりますし、心強く思います。

コンプライアンス意識を高く保つことが、教育の質の向上に繋がる

  ―――今回の取材では、社会保険労務士側に有給休暇について積極的に質問をして頂くなど、運営側としての労働法の理解と、労働環境の改善の必要が高いと考えていることがうかがえます。   山本 カイ日本語スクールでは学生への指導やケアだけでなく、日本語教師の労働環境についても高い問題意識を持っています。 留学生からも、日本の企業は休みが少ない、女性が活躍しにくい等、あまりいいイメージを持たれていません。ですので私たちは学生たちに教育をするだけではなく、企業文化を変えていくために日本の企業に対しても研修が必要と考えています。   ―――確かにその通りです。ところでカイ日本語スクールのカリキュラムについて教えて頂けますでしょうか。   山本 カイ日本語スクールでは、学生が勉強に専念できる環境が整っています。 勉強に専念するため全日制のコースが中心で、週20コマの講義など、カリキュラムは充実したものとなっています。 生徒の日本語力に応じた細かいレベル分けもしており、生徒は適切なレベルのクラスから加入することができます。十分な指導ができるよう、1クラスは20人くらいまでとしています。 教材も充実しており、テキストは使いやすく持ち運びしやすいタブレット形式にしています。タブレットを持っていない学生には有料で貸し出しもしています。   ―――教室以外のオープンスペースもありますね。明るくて開放的な印象です。   山本 ここは生徒が自由に利用できるスペースです。ここで学生は、学内のPCの利用もできますし、生徒同士でのコミュニケーションもとれるようになっています。   ―――その他、カイ日本語スクール様で配慮している部分について教えてください。   山本 カイ日本語スクールでは日本での就職に対して過度な対応をすることなく、まずは学生の本分である勉強に焦点を置いていることも特徴です。 勉強の効果を上げるためには、住環境の整備も必要です。外国人が日本で居住する際、身元保証人の問題等がありアパート探しなどで苦労することもありますが、カイ日本語学校では寮などの設備があり、学生が住環境に対して心配することなく生活できる配慮をしています。 また、日本で生活する外国人は銀行口座開設などで苦労することもありますが、カイ日本語学校では、銀行口座開設のサポートをする等、充実した生活支援により、学生が勉強に専念できる環境を作り上げています。   ―――日本語教育の部分は勿論ですが、それだけではなく留学生の生活支援も十分にしているため、学生は安心して勉強に専念できるのですね。当たり前のようなことですが、不正のニュースも聞かれる中、このような環境づくりを徹底しているのは本当に素晴らしいと思います。

日本語を本気で勉強したい外国人が集まる日本語学校

  ―――学生の皆さんはどちらの国から来ている方が多いのでしょうか。   山本 学生はアメリカ、ヨーロッパをはじめとした欧米系の国から来日することが多いです。 カイ日本語スクールでは、国際的な私立の語学学校協会である IALCの加盟校でもあるので、ヨーロッパの良質なネットワークからの紹介により、やる気のある学生の受け入れができています。 そのため、ビザの申請許可が下りない生徒はほとんどいないのも特徴です。 年代でいうと20代が多く、既に就労経験のある人達がキャリアアップの目的で来ているケースが多いです。   ―――アルバイトをしている学生さんもいらっしゃるのでしょうか。   山本 学生の中にはアルバイトをする人もいますが、あくまで学業優先としており、アルバイトと勉強の両立が大変になったときには、アルバイトを辞めて学業に専念するケースが多いです。   ―――アルバイトが中心で学校にあまり通っていない学生がいるなどの報道もよく聞きますが、カイ日本語スクールでは学業優先の学生が多いことを聞いて安心いたしました。 カリキュラムを修了した学生さんで、日本での就職を目指す方はいらっしゃるのでしょうか。   山本 カイ日本語スクールでは、生徒の目的は日本語の勉強であるため、日本での就職が目的の学生はあまりいません。カリキュラム終了後は帰国する生徒が大半です。   ―――日本語をしっかり勉強したいために入学する学生さんが集まる日本語学校なのですね。本日はどうもありがとうございました。   【編集部より】 今回取材したことにより、日本語学校に対するイメージが一新しました。メディアでは日本語学校の不正行為なども一部報道されていますが、このような良質の学校もあること、まじめに勉強している留学生もたくさんいることを情報として発信するべきだと思います。 そうすれば、世間一般の日本語学校に対するイメージも良くなりますし、不正なことをしている学校は淘汰されていきます。そのためにHR NEWS TOPIS編集部では物事を広い視野でとらえ、情報を発信していきたいと思っています。   (執筆 東京都社会保険労務士会 HR NEWS TOPIS編集部 永井知子)   ]]>