派遣会社の現場の実態と可能性(2) 2018年の法改正対応・今後の派遣業の可能性

2018年7月17日


近年のIT技術の発展、働き方改革などにより経済・産業構造は大きく転換し、労働者に求められる能力は高度化、専門化しています。このような中で、雇用機会の創出・確保を図るとともに、労働力需給のミスマッチの拡大を抑制するために、労働者派遣事業や職業紹介事業などの労働力需給調整機能の強化が求められています。

また、2018年10月には改正労働者派遣法(※)により、それまで継続的に就業していた派遣スタッフの雇用契約の転換等も注目されています。

※改正労働者派遣法:2015年9月30日施行の改正労働者派遣法により、派遣社員(個人単位)と派遣先(事業所単位)に対して派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則3年になった。 

 

今回は、株式会社リクルートスタッフィングの赤塚智大様に人材派遣会社の現場の状況や、求人広告による採用や人材紹介会社などの人材調達手法との違いを取材しました。

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人材派遣業の現場について

 

―――本日はありがとうございます。まずは赤塚様のご経歴について教えていただけますか。

 

赤塚(以下、敬称略)リクルートグループで人材業界を長く経験させていただいています。株式会社リクルート・株式会社リクルートキャリアで新卒採用・中途採用について広告と人材紹介を10年程経験した後、株式会社リクルートスタッフィングでの派遣業を経験し、3年弱となります。コンサルティング職・営業職など、常に顧客接点に立つ仕事をしていました。今はマネージャーとして部署を管理しています。

 

―――赤塚さんの部署の人数構成とメンバーそれぞれの役割を教えていただけますか。

 

赤塚 現在、私達の部署では、東京都の港区、品川区、大田区内の大企業を中心に60社程担当しており、就業派遣スタッフの方は約1,000人になります。この業務を、営業8人、派遣スタッフの方のフォロー担当3人の合計11名のメンバーで行っています。

派遣スタッフの方は期間ごとに契約を締結しながら働くため、全体の7割くらいが既存のスタッフの方で、残りの3割くらいが新規のスタッフの方になります。契約を終了する派遣スタッフの方は毎月約6~10%程で、契約終了の理由は、引越しや配偶者の転勤によるものなどが多いですね。

 

人材派遣業界の2018年問題、働き方改革、同一労働同一賃金について

 

―――2015年の改正派遣業法で、派遣社員(個人単位)と派遣先(事業所単位)に対して派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則3年になりました。その最初の期限が2018年の9月末になります(※)。これに対する影響は大きいでしょうか?

※人材派遣業界の2018年問題と言われる。

 

赤塚 私の担当している部署の話ですが、今回の影響で職場を離れたり無期雇用転換をする必要があるのは、全体の約1割といったところです。現場での対応は試行錯誤していますが、人材派遣会社としては、より派遣スタッフの方と深く面談をして、ご本人の希望とマッチングする対応をしていくことに注力しています。

 

―――派遣スタッフは、引き続き派遣の形態で働くことを希望している人が多いのでしょうか?

 

赤塚 こちらも私の担当している部署の派遣スタッフの方の話にはなりますが、自身のキャリアについて、派遣のまま働きたいという方と、正社員になりたい、という希望を持っている方は肌感覚ですが同程度いらっしゃるように感じます。今回の法改正は、今後の自分のキャリアについて積極的に考えるきっかけにもなっていると思います。どちらかというと、企業サイドで対応をどのようにしていくか判断していただくことが課題だと思います。

 

―――あまり企業では対応方針が決まっていないということでしょうか。

 

赤塚 まだまだ10月の改正派遣法後への対応としても、制度をどのように作るかを検討している企業が多いと思います(2018年6月時点)。また、同一労働同一賃金などの法改正についての対応も、今後の情勢を見ながら検討する企業が多いのではないでしょうか。

 

派遣業界の今後について

 

―――今後の派遣業界について、例えばどのようなサービスが求められるのでしょう。

 

赤塚 リクルートスタッフィングでは「ZIP WORK」という働き方を提案しています。高いスキルを持ちながらも育児や介護などで時間的な制約がある人が、フルタイムではなく短時間勤務の形態で働くことにより、能力を発揮できるという働き方です。企業側にとっても、時間の制約をなくすことでスキルの高い人材が採用できるというメリットがあります。

 

また、国内の大学に通う外国人留学生については、日本での就職を希望している学生のうち実際に就職できている学生は約半数どまりという統計があります。リクルートスタッフィングでは、外国人留学生向けの派遣サービスも行っており、外国人留学生に販売系の仕事などを経験していただくことで、日本語や日本ならではのビジネスマナーを学ぶこともできるため、就職活動にも役立ったとの意見を多くいただいています。

 

労働力人口の減少問題など、今後ますます変化していく労働市場に、柔軟に対応していくことが重要かと思います。

 

―――今までのお話を聞いて、人材派遣会社の企業や派遣スタッフに対するサービスは大変手厚いものだと感じました。

 

赤塚 はい、特に人材派遣の場合は就業が決まったら終わりではなく、むしろその後の対応力を求められる部分が大きいため、必然的にサービスは手厚くなります。現場では苦労も多いですが、やりがいを感じられる部分も多いです。

個人的なキャリアから見ても、派遣業で社員の方々の日常に触れられることは大変大きな経験になっていると感じます。

 

(執筆 東京都社会保険労務士会 HR NEWS TOPICS編集部 永井知子)