外国人労働者との未来に向けて~技能実習の制度活用の発想の転換!国際的に事業発展・公益事業にも展開

2019年5月5日


今回は、建設業で技能実習生を長く受け入れ、技能習得後で帰国した元実習生の方とグローバル事業を広く展開していらっしゃる、株式会社OGINOの代表取締役、荻野一美様にお話をお伺いしました。(荻野様は、今回取材したご経験に基づいて国際協力の公益団体を設立されたそうです。こちら 一般社団法人未来友

外国人技能実習については、労働の実態などが社会的に問題になっていますが、本来は日本で技能を習得し、本国や国際的に活躍する外国人の方を広く創出していく、国際貢献の仕組みです。制度趣旨を最大限に活用した好事例としてお話をお伺いしました。

 

株式会社OGINOと、技能実習との関わりについて

 

―――本日はありがとうございます。まず、株式会社OGINOと、技能実習制度とのそもそも関りについてお教えください。

荻野様(以下、敬称略) 当社は、岡山と四国を基盤に建設業を展開しています。取り扱う案件としては、小~中規模の一般的なアパート等の建設から、リノベーション、また建設資材の流通等も行っている企業です。従業員規模は10人程度となります。

技能実習制度を活用し始めたのは2014年、4年ほど前のことです。弊社では、未経験者含めて人材を常に募集していますが、慢性的な人手不足の上、特に若い方の応募が少なくなっており制度の活用ができるのではないかということで受け入れの検討を始めました。

 

―――その後、どのような形・規模で受け入れを始めたのでしょうか。

荻野  受け入れるのは若い方でもあり、また海外から渡航してくるということでしたので、人生を預かることでもあることが分かり、日本人を受け入れる以上に責任を持たなくてはならないと考え、様々に制度の学習をしたり、準備をしました。

また、その頃は中国系の実習生の受け入れが多い時期だったのですが、ベトナムからの送り出しが増えており、その時点で一部東南アジアから資材を購入していたこともあり、ベトナムの方の受け入れを希望しました。ベトナムについての勉強も始めました。とにかくお越しになる方に不具合がなく、弊社としてもうまく活用できるようにということで必死だったと思います。その後、2名の方を受け入れることから始めました。

 

技能実習制度の活用の結果として、国際的な大発展

 

―――そうなのですね、結果的に、受け入れていかがだったでしょうか?

荻野 はい、結果から言いますと、技能実習で弊社は非常に助かりましたし、彼らの国外への情報を聞いて、日本での事業の発展に非常に効果がありました。また、3年後に帰国した実習生の中の一人のグェン・バン・カインさんについては、非常に発展的な話となりました。
私自身がもともとベトナム本国でも有数の企業グループの、TMSグループという不動産や建設の企業グループと縁があったのですが、そこからの支援も受けて本国で会社を設立したのです。TMSグループやその会社は、弊社と大きな取引関係になっており、まだ発展途上ではあるものの、グローバルな協業・発展が徐々にできてきています。

 

―――それはすごいですね。技能実習制度を通じて、そのようなことが可能なのですか。社会的には、技能実習制度の実態として、違法な低賃金や行方不明者が出ているなど、大きな問題が起きていると広く報道されています。

荻野 大変悲しいことだと思います。技能実習制度を活用し、弊社で最もポイントになると思われるのは、資質を十分に重視して受け入れ、人間的な繋がりを重視して仕事に臨んでいくということだと思います。特に技能実習生は監理団体のフォローもあるため、作業レベルで割り振るように仕事をしている事業主が多いのではないかと聞いていて思います。
これでは実習にならず制度の趣旨とも違いますし、しかも技能実習生には高い資質の人材も多くいます。経営的に不合理なのです。このことに気付いてほしいと思います。

 

技能実習制度を活用する上で、必ずクリアしなくてはならない経営のポイント
今後目指していくこと

 

―――お話をお聞きしていて、技能実習というのはそもそも、外国人の方に技能を伝えることによる国際的な貢献・発展ということですから、そういった準備を企業側で行うのは必ず必要なことだと感じました。

荻野 はい、経営者の責務だと思いますし、またそのように準備しないとそもそも経営的にもまったく合理的ではないのです。何より大切なのは、技能実習生など日本に来てくれた方々と、人間的な繋がりを深く作るということだと思います。
人間的な繋がりができれば生産性も上がりますし、外国の方でないと思いつけないようなアイディアも出してくれるのです。そして、国際的な繋がりをビジネスにお互いに生かしていくような発展も可能になると思います。

 

―――なるほど、非常に納得できるのですが、日々の業務の中で人間関係を構築する、というのは日本人に対しても大変難しいことだと思います。どのようにすれば可能になるのでしょうか。

荻野 はい、外国人の方だからこそ可能になる方法があると思います。ひとつは、何よりもルーツを理解することだと思います。出身や日本に来た理由には、本当に興味深い話があります。また、言葉の壁を意識せず、とにかくコミュニケーションをとることです。人間同士なので、何とかなります。意思疎通のためにはカードを作ったりして工夫していました。
特にベトナムの文化だと思うのですが、一度繋がりができると、どんどん色々な方を紹介してくれるということは共通しています。

 

―――非常に興味深いです。外国人の雇用についての重要な経営の手法だと思います。今後の展開について考えていらっしゃることなどはありますか?

荻野 今後の展開としては、今回学んだことをより広く伝えていきたいです。実習の受け入れということから始まったのですが、人間はやはり皆同じことを深く感じました。ただ、文化や生育環境の違いというものは確かにあり、共に仕事をしたり発展していくためには、様々なノウハウや気を付けなくてはならないことがあります。
今後の日本の社会のことを考えると、アジアの周辺諸国と連携し、共に発展していくことが必要だと思います。今回の経験を根本に、日本と、東南アジアやアジア全体との架け橋となるような活動をし、10年後や20年後を見据えて発展に貢献できればと思います。
具体的にはそういった目的のために、公益団体の設立ができればと構想しています。今回の機会を頂きありがとうございました。(外国人の雇用と国際交流に関する公益団体を設立されたとのこと こちら 一般社団法人未来友

 

(東京都社会保険労務士会 新宿支部広報委員会 松井勇策)