2018年上半期 人事労務トピック

2018年10月31日


<![CDATA[東京都社会保険労務士会 HR NEWS TOPICS編集部が「人と人をつなぐ、人事のための総合メディア @人事」様と一緒に2018年上半期の人事労務関連の話題を振り返ります。
特に世間で注目された「働き方改革関連法の成立」「パワハラ・セクハラ問題」「障害者雇用促進法の改正」の3つのトピックに話が弾みました。

高度プロフェッショナル制度が話題に!

編集部 今国会の最大のテーマであった「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(通称、『働き方改革関連法』)」が6月に成立しました。この中で特に話題となったのは、「高度プロフェッショナル制度(以下、高プロ)の創設」でしたね。新聞でも連日取り上げられていました。

@人事 5月は特に高プロに関する記事へのアクセス数が増えており、世間の関心の高さがうかがえました。

編集部 高プロは 「残業代ゼロで働かせ放題」「過労死の助長」というイメージが強いと思いますが、適切に対応すれば労働者とのトラブルを防ぐことができますので安心してください。

東京都では「TOKYO働き方改革宣言企業制度」を設けており、私共社会保険労務士(以下、「社労士」)が企業様に対して「働き方改革支援巡回コンサルタント」として「働き方」と「休み方」の改善に関する助言を致します。また、奨励金や助成金もありますので,ぜひご活用いただければと思います。

@人事 休み方と言えば、ゴールデンウィークやお盆休みなどの長期休暇明けはメンタルヘルス関連の記事が多く読まれていました。

編集部 皆さん休み明けはやる気が出ませんよね…。メンタルヘルスやハラスメント対策を含めた「働き方改革担当」や「健康企画課」を設置する企業様も出てきましたし、今後も目が離せないトピックです。

パワハラやセクハラに関する記事がSNSで拡散!

編集部 ハラスメント関連の事件として、上半期は日本大学のパワハラ事件や財務省次官のセクハラ事件などが報道され、大変注目を集めました。

ここ数年の東京都の労働相談のうち1位は「退職」、2位は「職場の嫌がらせ」ですので、嫌がらせなどハラスメントの悩みを抱えている方は多いようですね。

@人事 パワハラ・セクハラに関する記事はSNSで拡散されたため、バズっていました。

編集部 SNSの力は凄いですね。パワハラ・セクハラについては主観的な部分も多いため、難しい問題です。同じ発言に対してAさんは許容できても、Bさんはハラスメントと受け取ることもありますし、上司に毎日3時間立たされたまま皆の前でお説教されるなど、誰が見てもパワハラとわかるものもあります。

そのようなときはいきなり労働基準監督署に行くのではなく、私共社労士にご相談いただきたいですね。監督署から会社宛に「御社の従業員が監督署に相談に来ました。事情は…」と電話があり、顧問社労士が従業員からあらためてお話を聞いて、それで解決することも多いのです。

お勤め先の企業に顧問社労士がいない場合は、「社労士110番」という無料電話相談や、予約制の面談ができる「総合労働相談所」もありますので利用してみてください。

障害者雇用の記事へのアクセス数が上昇!

編集部 ハラスメントと同様に倫理感が問われた事件がもう1つありました。障害者雇用水増し問題は記憶に新しいかと思います。2018年4月から障害者雇用促進法が改正され、国や自治体は2.3%から2.5%へ、民間企業は2.0%から2.2%へ法定雇用率が引き上げられたのはご存知でしょうか。

@人事 はい。毎年6月1日現在の障害者雇用状況を報告するのですよね。6月頃に、改正障害者雇用促進法における障害者のカウント方法についての記事へのアクセス数が増えていたので、気になっていました。

編集部 残念なことに、国の行政機関は昨年6月で雇用率2.49%と公表していたのに対し、実際は1.19%と水増ししていましたね。皆さん、カウント方法を間違えないように記事を読んでくださったのですね。

障害者雇用にかかる他の制度として「障害者雇用納付金制度があります。この制度は、常用労働者100人超の企業様が対象で、法定雇用障害者数を超えている場合は障害者雇用調整金や報奨金が支給され、下回っている場合は障害者雇用納付金が徴収される仕組みです。なお、障害者雇用状況報告は公共職業安定所の管轄ですが、障害者雇用納付金制度は(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の管轄ですので混同してしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。

障害者雇用について最近企業様からご相談を受けた内容としては、「(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構から連絡があり、障害者雇用状況の調査が入ることとなりました。それで改めて確認したところ、障害者手帳の期限が切れた状態で雇用数のカウントに入れたまま、その方が退職してしまっていました。どうしましょう…」というものでした。

いざ、調査が来てどうしよう!という場合も対応可能ではありますが、少しでも疑問に思うことや不安なことがありましたら、日頃から私共社労士にご相談いただけましたら嬉しいです。
 

編集部 以上の3つが上半期の大きなトピックでしたが、特に「働き方改革関連法」は2019年春から施行となります。直前になって慌てないよう、しっかりと対策をしていきましょう。

@人事 はい。働き方改革関連法については@人事にてお役に立てる情報を順次アップしていきますので、そちらもご活用いただきたいです。

編集部 インターネットで記事を読んで予備知識をつけ、記事を読んでもわからない点は専門家に相談、というのも一つの問題解決方法ですね。本日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。

(執筆 東京都社会保険労務士会 HR NEWS TOPICS編集部 亀田 裕香)]]>